建設業界の下町ロケット? コマツが2年後の無人建機商用化を発表

あけましておめでとうございます。本年も当ドローン技能訓練校をよろしくお願い致します

昨年人気を博したドラマ「下町ロケット」では、無人の農業用トラクターが描かれ驚いた方も多いのではないでしょうか?
ドローンの世界では「自動運行」というのは身近な技術であるのですが、一般の方にとっては初めて触れる技術だったと思いますので、これをきっかけにしてドローンそのものや、ドローンとそれに付随するICT技術を活用したこれからの産業に興味を持っていっていただけたら嬉しく思います

そんな中、建設業界の雄である小松製作所-KOMATSU-(以下コマツ)が、創業百周年となる2年後の2021年にも、無人運転の建機を商用化する計画であることが今月2日に分かりました
どのような技術、どのようなサービスなのかをかいつまんでご紹介したいと思います

自動運転建機の種類

komatsu 自動運転
※画像はイメージです

今回商用化計画が発表された建機は「油圧ショベルカー」と「無限軌道式ダンプカー」の2種類です
無限軌道は「キャタピラ」と言った方が一般の方には分かりやすいかもしれませんが、キャタピラは商品名(キャタピラー社)ですので使えません。が、分かりやすく言うならショベルカーとキャタピラ式のダンプの2種類です

コマツはこれら建機について今年の春から実際の現場に導入して実証を重ねていき、建設業界が抱える人手不足に対応するため「省人化」を進めていく方針としています

無人建機というと「ICT土工」で使われているMC(マシンコントロール)方式の重機をイメージする方も多いと思いますが、今回発表された建機はそちらをさらに発展させた建機とも言えるものになっています
ショベルとダンプはどちらも完全に無人で動き、完全自動で土砂を掘りこんだショベルは自動でダンプに積み込みを行います。ダンプは地形データと障害物センサーを活用することで、指定地点まで自動で土砂を運びます

ドローンとの連携

まるで建設業界のニュースのようになってしまいましたが、それではドローンはどこで活躍するのかと言うと、従来同様地形を測位して3Dデータを作成するために使われます
コマツがイメージする未来はこれまでのICT施工をさらにスムーズかつシームレスにしたもののようで、無人で飛行するドローンが地形を空撮、そのデータはクラウドサービスに送られオンラインで3次元データの作成を行います。クラウド上の高性能マシンによって短時間で作成された3Dデータは、今度は自動運転建機の方にオンラインで送信され、受け取ったデータをもとに自動で施工を開始する、というイメージが描かれています

これらの工程を実現するために超えなければいけないステップは3つほどありそうだと感じます

  • 点群データを高速で作成するためのクラウドサービス
  • 大容量データを短時間で送受信するための5Gモバイル回線
  • 現場によって微妙に異なる現況や地質に対応するための頭脳

現場で撮影を行い、すぐに点群化するためには高性能なPCが必要となります。待ち時間をいかに減らせるかがキモとなると思いますが、クラウド上のサービスであれば今後は並列コンピューティングに対応したSfM処理ソフトが出てきさえすればすぐに解決できるのではないかと思います
また、大量の写真データや大容量の3Dデータを現地で送受信するには高速なネットワーク環境が必要となりますが、こちらも間もなく実現する5Gモバイル通信によってクリアできると言えそうです

最後の、現場に応じたより緻密な調整や微妙なコントロールについてはハードルが高そうですが、この点についてコマツは「AI(人工知能)」を活用することでクリアしていきたいとしています。今年実証実験を開始する目的のひとつがAIのディープラーニングを見据えたデータ収集であり、商用化へ向けて制御技術を高精度化していくとしています

 

未来を感じる技術で実現が非常に楽しみではありますが、現場で活用するには当面は高価なコストが壁となってしまう可能性もあります
誰もが気軽にこうした技術が使える時代のための先導者として、コマツには頑張っていただきたいと期待しています

関連サイト

小松製作所(KOMATSU)公式サイト:https://home.komatsu/jp/