東北電力 ドローンによる送電設備点検を2019年本格導入へ

ドローン 送電線 点検

ドローンによる送電線等の送電設備や高圧線の点検への活用が叫ばれて久しいですが、東北電力は2019年上半期にも、送電設備の巡視点検にドローンを本格導入させることを発表しました

ドローンによる送電設備点検の概要

従来の送電設備点検では、作業員が鉄塔に登っての点検やヘリコプターでの点検が行われていました
人力による点検では時間と人手が、そしてヘリコプターによる点検ではコストが嵩んでしまうことが課題となっていましたが、ドローンを活用することで「時間短縮」と「コスト削減」の一挙両得が狙え、さらには高所作業を減らせることで作業員の「安全」も確保できるとして期待が高まっています

設備点検はドローンが撮影する可視画像を参照してボルトの腐食などを点検する「準・目視確認」を行うことはもちろんですが、赤外線カメラを搭載し撮影を行うことで送電線の接続部分などが経年劣化によって異常発熱を起こしていないかどうかといった確認も行うことが可能です

東北電力は既に8台のドローンを先行導入していますが、2019年には送電業務を担う全ての電力センターに対して合計40台のドローンを配備するとしています
機体についてもメーカーと共同で、自動航行可能な送電線点検に特化した専用ドローンを開発中であるとしています

ライセンスを取得したパイロットは現在は60名弱ですが、ゆくゆくは送電線部門を担当する全ての社員(700名ほど!)がライセンス取得を目指していくということです

送電線点検の際の注意点

素晴らしい話ですね
当校の姉妹校が東北にありますので、資格取得を目指されるならそちらを使っていただけたらと思ってしまいます(笑)

以下、頼まれたわけではないですがドローンで送電線点検を行う際に注意しなければならないポイントを書いておこうと思います
まず無いとは思いますが、万一こうした業務をされる方がいた場合には参考にして下さい

大前提

  • 素人はやってはいけない!

これに尽きます
特別な理由が無いにも係わらず、送電設備の付近をドローンで飛ばしてはいけません。具体的には、30メートル以内には近づかないようにしましょう

注意点

  • 可能であれば望遠レンズ(カメラ)を搭載したドローンを使う
  • 可能であればRTK測位を行えるドローンを使う
  • 自動航行をさせる際は、リスクが格段に上がっていることを理解し、速やかにマニュアル操作に移行できるよう備えておく

先ほど書いたように、原則送電設備の周囲にはドローンは立ち入らないように運用すべきです
これは、強力な電磁波が発生しているため、電波障害やセンサーへの障害が起きてしまう可能性があるためです。GPS、コンパスのエラーや、ひどい時には送信機との電波すら感度抑圧を受けてしまうことも無いとは言えません
ですので、極力近づかなくても点検が行えるよう、遠くから望遠カメラを用いて点検するのが安全だと言えるでしょう
しかし赤外線カメラの場合はそうはいきませんので、その際には追加安全策が必要となります

GNSSの採用により自動航行精度は向上しているとはいえ、ソフト的な補正を含めなければまだ数メートルの誤差は残っています
ボルトの腐食等まで見つけなければいけない送電設備点検では、相当接近してフライトさせることが予想されますので、より高精度な位置測定の可能なRTK測位可能なドローンを使う等の配慮が必要となります
間違えてはいけないのは、RTKを使えば「接触」というリスクに対してより安全とするための対策はできたことにはなりますが、電波障害に対しては脆弱です
原則は「接近しすぎない」ことが最良の安全策であるということをしっかりと踏まえておく必要があります

そしてこれは基本ですが、電磁波の影響を受けやすいコンパスやGPSがエラーを起こしてしまうと自動航行は機能しなくなります
そうした際に速やかな対処ができるよう、必ず「ドローンの状態の監視」と「マニュアル操作介入」が行えるよう準備をしておいて下さい
万一の際にはマニュアル操縦で安全に戻してくる技術も求められます。この時はGPSは効かないケースも多いと思いますので、GPSが無くても安全にフライトさせる技術を身に着けておく必要があります

 

より安全に効率よく、こうしたことのためにドローンが活用されていくというのは本当に嬉しいですね

こうした技術や産業の発展を阻害しないよう、運用者はより一層「安全」に配慮していく必要があると思います
事故を起こしてしまうと「それ見たことか!」「危ない!」と叩かれて、がんじがらめの規制になってしまいますので、一人ひとりの安全運用への心掛けが大事になってきますよね