これぞ真の『ドローン』 生きたハチの背中にセンサーを搭載し、スマート農業を実現

蜂 ドローン
画像出典:ワシントン大学

CNET Japanがとても面白いニュースを届けてくれました

アメリカ・ワシントン大学の研究チームが、生きた蜂(ハチ)の背中に搭載できるセンサーを使うことで、温度や湿度のデータを収集できるシステムを開発したと発表しました
ご存知の方も多いと思いますが、ドローンの名前の由来はオスバチを意味する『ドローン』から来ています
これこそまさに真の『ドローン』と呼べるのではないでしょうか?

今回はこの発表をかみ砕いてお届けしたいと思います

なぜ、「蜂」なのか?

ドローンは便利なツールである反面、まだ様々な制約を抱えています。その中でもとくに有名なものとして「飛行時間の短さ」という制約があることはご承知の通り

ところが今回開発されたシステムを用いることで、飛ぶことに関するエネルギーは一切消費する必要が無いため、従来以上のデータ収集に活用できると期待されています
蜂にセンサーを取り付ける理由はずばり、このシステムが「スマート農業」のためのシステムであるという点に集約されると思われます

畑や農場を縄張りとする蜂にこのセンサーを取り付ければ、すぐにどこかへ飛んで行っていなくなってしまうということが無く、定期的なデータを取得できるという利点があります

どのようなシステムなのか?

公開された映像では、マルハナバチというそれほど大型ではない蜂にセンサーを取り付けたうえで、「異物」の影響がなく普通に飛行できる様子が映っています

センサーの重量は102mgと想像以上に小型軽量であり、蜂たちは従来通りの生活を営むことが可能となっています
このセンサーには超小型のバッテリーが搭載されており、最大で7時間ぶんもの連続データ収集が可能であるそうです
センサーが取り付けられた蜂は、生きた『IOTセンサー』と化し、農場の様々な位置における温度・湿度といったデータを収集することが可能になります

蜂 ドローン
画像出典:ワシントン大学

消費電力が大きすぎるという理由から、従来のGPSは搭載されていません
その代わりに計測対象エリアに複数のアンテナを設けることでそれらからの受信情報をもとにして位置を割り出す独自技術を採用しています。おそらくは小規模エリア版GPSとでも呼ぶべきもので、GPS同様「三平方の定理」によって座標を割り出す仕組みなのではないかと予想します

このシステムの画期的な点として、データ取得と充電を半自動で行えるという点が挙げられます
センサーを取り付けられた蜂たちは夜間などには巣に戻り休息しますが、巣の中と無線通信を行えるようにシステムを構築。蜂が必ず戻ってくる場所である巣にこうしたシステムを備えることで、無線通信によってデータを確実に取得することができるようになっています
さらにこの時、ワイヤレス充電技術によってセンサーの充電も同時に行いますので、蜂たちが普通に生活しているだけで、バッテリー切れの心配なく、着実にデータを収集することが可能な、まさに「生きたIOTセンサー」となる、といった仕組みとなっています

映像が公開されていますので、興味のある方はご覧ください
未来を感じるとても楽しいニュースだと思います


映像出典:ワシントン大学

関連サイト

CNET Japan 該当記事:https://japan.cnet.com/article/35131111/
ワシントン大学研究チーム 発表:http://www.washington.edu/news/2018/12/11/sensor-bees/