お待たせしました! DJIから測量特化のPhantom4 「Phantom4 RTK」がリリース

DJIから嬉しい発表がありました

かねてより受講生さんの間でも挙がっていた「Phantomで気軽に測量できないの?」という要望を叶えてくれるドローン

Phantom4 RTK

がリリースされました。販売開始は10月下旬を予定です
RTKシステムの搭載により測位制度はセンチメートル単位にまで向上。i-Constructionの基準を満たす精度±5cmを実現可能であるとしています

Phantom4 RTKの概要


画像出典:DJI

これまでRTK測位システムをドローンに搭載するには、ある程度大型の機体に搭載するしかない状態が続いていました。小型であってもMatrice200シリーズぐらいが限界で、当校の受講生さんからも「PhantomとかMavicではできないの?」という声がとても多く上がっていました

もちろんPhantomやMavicを測量に使うことは不可能ではありませんが、標定点の設置が必要であり、水平誤差±5cmを実現するためには1平方キロあたり40個の設置が必要であるとされていました。当校でも評定点の設置を実習したことがありますが、GNSSローバーを持って各点を回るのは意外と時間がかかるなという印象でした
今回登場したPhantom4 RTKは標定点を設置する必要なく、あるいはより少ない標定点の設置で前述の精度を実現可能であるとしています(i-Constructionの基準的にも標定点無しは不可です)。設置時間を概ね75%削減できるとしています

また、従来通り(かどうかは不明ですが)GNSSモジュールを搭載していますので、RTK測位モジュールが受け取る電波が弱くなってしまいがちな都市部等でもこれまで同様の安定した飛行が可能であるとしています

さらに、リアルタイムに精度を調整し続けるRTKの特性を最大限に活かすため、Phantom4 RTKにはTimeSyncシステムが搭載されています
TimeSyncシステムはフライトコントローラー/カメラ/RTKモジュールを絶えず調整するシステムで、それぞれの写真に極めて正確なメタデータを付与、測位データをCMOSの中心に固定することで写真測量方式の結果を最適化し、cmレベルの測位データを実現可能であるとしています

新アプリ「GS RTK」

phantom4 rtk gs rtk
画像出典:DJI

また、Phantom4 RTKの登場に合わせて(?)専用の飛行計画アプリ「GS RTK」が登場しました
こちらについては詳細がはっきりしないのですが、DJIの発表を引用すると

従来の飛行モードに加えて、写真測量とウェイポイント飛行の2つのプランモードを搭載したGS RTKアプリを使用すると、パイロットはPhotom 4 RTKをスマートに制御できます。計画モードでは、オーバーラップ率/高度/飛行速度/カメラパラメーターなどを調整しながらドローンの飛行経路を選択し、自動マッピングまたは調査ワークフローを提供します。 GS RTKアプリはユーザーによる使用を考慮して構築されており、特定のマッピングや調査ワークフローに対してさまざまな機能を備えています。このアプリは、オフィス内で飛行計画を立てる際にKMLエリアファイルを直接ロードできる機能、全ての写真で露出を一定に保つ新しいシャッター優先モード、そして、悪天候をパイロットに警告する強風アラームを実装しています

となっており、これまでの「GS PRO」をさらにブラッシュアップしたようなアプリなのかなと推察できます
画像を見る限り、Phantom4 RTKはPhantom4 Pro+と同じようにプロポにタブレットが合体したスタイルのように見えますので、Pro+ではGS PROが使えないという弱点をカバーしてくれることにもなるアプリなのかと思います
(というかいつになったらGS ProはiPad以外にも対応してくれるの?)

その他の仕様と特長

それ以外の特長についてもざっと紹介したいと思います

  • Mobile SDK対応で機能のカスタマイズ・自動化が可能
  • (多分)Mavic2と同じOcuSync伝送システム採用で最長7kmの距離で送受信(日本国内は5km。これもMavic2と同じ)
  • DJIのD-RTK2モバイルステーションとシームレスな互換性あり
  • RTKで対応できないエリアではポスト処理キネマティックの使用が可能

といった具合です。ここに全てを書くことは厳しいので、それぞれの詳細はメーカーサイトにてご確認いただきたいのですが、Phantomにここまでの機能を持たせてくることは意外で、それだけDJIが建設分野に力を入れ始めたんだなということが改めて感じられました

仕様面では大きな変更はありません

  • プロペラ間サイズ:350mm
  • 重量:1391g
  • カメラ:1インチCMOS/メカニカルシャッター方式
  • レンズ:フルサイズ換算24mm F2.8
  • バッテリー:インテリジェントバッテリー 5870mAh 4S(今まで通り)
  • 飛行可能時間:30分(今まで通り)
  • 動画:最大4K30p(スペックダウン

といった具合です
メカニカルシャッターを搭載し、ローリング現象を起こさないように配慮されているのがMavicには無いPhantomの最大の強みであり、そこが継続されているのは嬉しいですね
RTKモジュールを搭載したのに重量がほとんど変わっていない点も素晴らしいと思います。結果として飛行可能時間も変わらず30分を維持しています

ただし、動画機能に関しては劣化が見られました
今まで可能だった4K60pムービーの撮影が不可能になり、Mavic2と同じ4K30pしか撮ることができなくなっています。誤記であることを願いたいですが、スペックシートにはそのように記載されています

DJI Phantom4 RTK スペック表

それとMavic2ではOKだったH.265が使えません。この辺りを見るにこのドローンは測量用途に特化してるから、動画撮影を楽しみたいなら別の機種も買ってねというDJIのメッセージなのかもしれませんね

何にせよ建築・土木・測量分野でのドローン活用を考えている人にとっては非常に魅力的な機種になるのではないかと思います
気になるお値段は…不明です(笑) DJIに問い合わせないと分からないようになっているようですが、もし今後情報が出てきたらまたお知らせ致します

関連サイト

DJI official web site
https://www.dji.com/jp

Phantom4 RTK 製品ページ
https://www.dji.com/jp/phantom-4-rtk