大きく変わる? ドローン農薬散布事情 国交省が一括認定へ 政府が発表

農薬散布 規制緩和
画像出典:DJI

ドローンの農業活用、特に農薬散布への利用についてはだいぶ認知されるようになり、実際に導入されている農家の方も増え始めてきています
しかし来年2019年には、より一層農家へのドローン普及が進むことになるかもしれません

日本政府はこのほど、ドローン(無人航空機)を農業利用する際に必要な機体や操縦者の認定手続きを国土交通省に一元化することを発表しました
高性能ドローンの普及を促進し、農家の生産性向上につなげていくとし、2019年度上期までに実施するとしています

現状の農薬散布ドローン導入の流れ

イマイチよく分からない方も多いと思いますので、現状での農薬散布ドローンの活用がどのような流れで行われているのかを簡単にご紹介しておきます

ご存知のようにドローンを運用するためには「航空法」に定められるところによって「機体」と「操縦者」の認定が必要になります
それに加えて農水省が定める航空防除時の航行や農薬安全について定める技術指導指針というものが存在し、これに基づいた認定を「農林水産航空協会」が行っています

「機体」や「操縦者」については当校のような講習団体を受講しても良いですし、自身で行うことも可能ですが、農薬散布においては前述の「技術指導指針」があるため、農林水産協会が「機体」や「操縦者」の認定も請け負い、国交省へ代行認定手続きを行うという流れが現場に定着しています

現状の農薬散布ドローンの問題点とは

この技術指導指針認定というものがクセモノでして、この指針は元々農薬散布で使われていた無人ヘリの運用に基づいて定められているところが非常に多くなっています
そのため、自動航行やカメラの活用といったドローンが得意とする場面での認定体制が整っておらず、運用者からは不満が出ていました。有名なところでは「モード1での運用しか認められなくて困る」といったあたりでしょうか(近年の多くのドローンはモード2がデフォルトのため)。日本製の機体はモード1にこだわっているものも多いですが、DJIが産業機に積極的に参入している現状を考えると、モード1に固執するのはナンセンスであると言わざるを得ません

さらに機体メーカーからも、指針が無人ヘリを前提とした認定であるため、不必要な項目ややたら細かな項目まで審査されるのはおかしいと不満があがっています

農薬散布ドローンの認定はどう変わるのか?

こうした声を受ける形で政府は、生産現場が円滑に国交省の手続きを行えるよう一連の認定を国交省に一元化することに決定したとしています
ただし、いきなり変わってしまうことは現場の混乱も予想されるため、協会による認定は来年度上期までは継続して行うことを発表しています。また、今回一元化されるのは無人航空機の中の「ドローン」に関する部分だけであり、無人ヘリの認定については今後も従来通り続けていくとしています

今回の変更を受けて、農水省はドローンメーカーなどに「農家が認定を受ける際の必要書類の代行申請」を行ってくれるよう働きかけるともしています
さらに農水省は、国交省と連携して一定の条件のもとに「補助者」の配置が不要となる規制緩和にドローン農薬散布も加えてもらえるよう働きかけること、ドローン散布に適した濃度の高い農薬の散布許可認定の簡素化などの働きかけを行うことも公表しています

 

というような形で、これまで結構不満の出ていたドローンによる農薬散布事情が大きく変わることになるかもしれません
技術指導指針認定はドローン1機ごとに取得する必要があったり、お話しした通り認定方法も今のドローンとずれているところがあったわけですが、今回の変更は「高性能ドローンの普及」というものが目的となっていますので、恐らくかなり導入しやすくなるのではないかと思われます

ドローンは便利なツールではあるのですが、何となく敷居が高いように感じたりもするものです。こうした流れで、ドローンがどんどん身近なものになっていってくれると嬉しいですね