エアバスの太陽光ドローン「ゼファー S」 航空機の最長飛行時間世界記録を更新

欧州のエアバスが8月8日、無人の太陽光ドローン「ゼファーS」のテスト飛行を行い成功させました
また、このテスト飛行によってドローンを含めた航空機で世界最長飛行記録となる、約26日間の飛行という記録を打ち出しています

ゼファーS(Zephyr S HAPS)のフライト概要

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画像出典:Airbus

このドローンは7月11日にアメリカアリゾナ州を離陸した後、およそ26日間(25日と23時間57分)にわたって連続飛行を行いました。現在は記録の申請も行っているとのこと
エアバスによると、これまでの航空機の最長フライト記録であった約14日間という記録も同社が打ち出したものであり、今回のフライトによって自社の記録を塗り替えた形となる

今回のフライトはイギリスの防衛省が支援するプロジェクトでもあり、今回の成功を受けて英国防衛省は「ゼファーSの革新性、創造的な破壊をもたらす能力を高く評価している。こうした能力が今回の記録につながったと感じている」とコメントしている

成層圏を飛行。太陽光動力の大型ドローン

同ドローンは太陽光による電力を動力源としており、平均飛行高度は上空21kmの成層圏となっている。これらは高高度疑似衛星(HAPS)と呼ばれるタイプの無人航空機であり、既存の人工衛星とUAVや有人航空機の間に存在するギャップを埋める目的で開発されている
この高度で飛行可能な航空機は少なく、かつてのコンコルドや軍用高高度偵察機のみとなっている

ゼファーSの翼長は25mと大型であるのに対し、重量は75kg未満と非常に軽量なのが特徴だ
太陽光を動力とするドローンに関してはアメリカのSNS大手であるFacebookも取り組んでいるが、これまでの記録は2016年に打ち出した90分ほどのフライトとなっており、今回ゼファーSはその記録も大幅に塗り替えた形となる

Zephyr
画像出典:Airbus

太陽光ドローン「ゼファーS」 今後の活用への期待

ゼファーSは主に観測・監視・通信といった目的において民間と軍需の両方に応え、山火事や石油流出といった広範囲で大規模な災害において被害状況を監視・管理する上で革命的な能力を発揮することが期待されている

airbus_zephyr
画像出典:Airbus

他にも環境的な地形や地勢を持続的に監視。高高度から長期にわたる観測が可能なため砂漠化や森林伐採といった変化の監視にも適していると思われる。さらには通信インフラが未整備の地域において通信手段を提供する利用も見込むなど、幅広い分野での活用が期待されている